[生物01] カッコウの托卵
― 目次 ―
はじめに
01 鳥とは?
02 カッコウとは?
03 どうして自分で育てないの?
04 托卵とは?
05 托卵の条件
06 カッコウの産卵数
07 巣を独占したカッコウはどうなるの?
08 まとめ
09 質疑応答・感想等
はじめに
今回、発表するのは「生物」の中の「鳥」についてです。
01 鳥とは?
そもそも鳥というのはなんだろうという話なんですけど、これには色んな定義がありました。
ただ、一般的には体の表面が羽とか毛で覆われているとか、まわりの気温とかに関係なく体温を一定に保てる恒温動物であるとか、歯は生えていないとか、くちばしをもっているとか、前肢が翼になっているので、飛ぶことができるとか、二足歩行であるとかといった特徴をもつものを鳥というそうです。
02 カッコウとは?
その鳥の中でも今回はカッコウについて発表していきたいと思います。
カッコウは全長約33cmの渡り鳥で,ヨーロッパと中国,日本をふくむアジアの温帯地域で生息しています。
冬はアジアの赤道遅滞とアフリカ南部で過ごすので,かなり広範囲に生息する鳥だといえます。ちなみにオレンジ色がカッコウが移動するルートを示しています。
Q ちなみに質問ですが、カッコウときいて、みなさんはどういうイメージを持ちますか。
A ノルウェーの森に泣いている。静かな森の中にいるイメージ。
A ずるい鳥。
A 歌に出てくる鳥。カッコウ。静かな湖畔の森のイメージ。
03 どうして自分で育てないの?
20代から50代の男女を対象にしたある調査でのアンケートによると,自分たち人間の場合は,「夫以外の男性とつくった子供を,夫に育てている知人を知っているか」という質問に約1割の人が「いる」と回答したという結果が見受けられましたが,この質問をカッコウに行ったら,ほぼ100%ということがわかりました。それがカッコウという鳥。
ここでカッコウについてある1つの疑問が沸き上がります。どうして自分で育てようとしないのか。
カッコウに関する動画がありますので,まずは皆さんに,次の動画を見てもらいたいと思います。
いかかでしたでしょうか。とても,恐ろしかったですね。
でも皆さんのカッコウのイメージとしては,さきほどの動画のように,自分の卵を他の巣に産み付けることを思い浮かべる人が多いと思いますので、カッコウの托卵について焦点をあてて話していきたいと思います。
04 托卵とは?
そもそも托卵というのは,自分で巣をつくってこどもを育てるのではなく,ほかの鳥の巣に卵を産んで,育ててもらうことをいいます。
これはとても楽な方法だと思われるかたもいらっしゃると思いますが,実はこの托卵は,かなり神経をつかう行動だということがわかりました。
05 托卵の条件
その理由として,まずはカッコウが托卵する相手の選択について説明していきたいと思います。
カッコウは,ただ適当に托卵しているのではなく,次の条件をそなえた鳥に托卵しています。
1つは,たべものが同じ鳥
2つ目は,卵の数が多い鳥です。
1つ目の食べものが同じ鳥を選ぶ理由は,カッコウが毛虫を主食にしているからです。もし毛虫以外だと,栄養バランスがずれて,体調をくずしてしまうからです。
たとえば日本では水と安全が保障されていますが,中国とか台湾とか、シンガポールでは、その国の水道水を飲むと,日本人はおなかを壊して生きていくのがつらくなります。
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だから,カッコウの子供も,自分の身体にあうように,できるだけ同じような環境を選ぶようにしています。
次は2つ目の卵の数が多い鳥を選ぶ理由についてです。これは、卵の多い巣は,カッコウが見つけやすいというのと,あと卵の数がおおいほど,ばれるリスクが減るので,托卵をしやすくなるからです。
ちなみに卵の色と大きさについてですが,
カッコウが生む卵は,おもに托卵する相手の鳥の卵に色や模様が似ている傾向があります。
それは,托卵された鳥は,巣の中に自分の卵と違った色の卵が入っていると,その卵を捨てるからです。それから,カッコウが生む卵は,相手の鳥が生む卵よりは,大きい卵で産む傾向があります。
これは,一般的に多くの小鳥は,自分の卵より大きい卵を積極的に受け入れようとするからです。
06 カッコウの産卵数
カッコウの産卵数について説明したいと思います。
カッコウが生む産卵数は,実は1つの巣に1個と決まっています。
それは,先に生まれたカッコウの赤ちゃんは,他の卵を外に追い出すからです。もし2個うんでしまったら,先に生まれたカッコウの赤ちゃんが,もう1つのカッコウの卵も外に落としてしまうので,たくさんのカッコウが生まれるために,1つの巣に1個と決まっています。
07 巣を独占したカッコウはどうなるの?
最後におまけとして,巣を独占したカッコウはどうなるのかについて話していきたいと思います。
動画にもありましたが,こうなります。左の写真でいえば,もうカッコウの体の上にスズメがのっているという状況。
ちなみに托卵は地上でも行われます。
右の写真では,ノビタキという鳥も,自分よりもはるかに大きなカッコウのひなに餌をあたえていますが,これもカッコウの口の中が赤いからというのが原因です。鳥は赤い色に反応して,えさをあげようとするので,口を開けている限り,本能的にえさをあげ続けていきます。
08 まとめ
Q 以上の発表をふまえて、結論としてカッコウはなぜ自分の子供をほかの鳥に育てさせるのかについて考えを聞かせていただきたいと思います。
これまでの発表をふまえて、カッコウが自分で育てない理由はなんだと思いますか。
ヒントは一般的な鳥がもっている特徴をカッコウが持っていないことが理由です。
この中にヒントがあります。
A カッコウは何らかの理由でえさをもってくることができないから。
A 恒温動物ではないから、自分で温めることができないから。
実はカッコウは鳥ですが変温動物です。変温動物とういのは、自分の体温が周りの気温に影響を受ける動物のことをいいます。カエルとか魚とかがそうです。
通常鳥は40℃くらいの体温を一定に維持しますが、カッコウは周りの気温に左右されるので、寒い時期になると29℃くらいに下がってしまいます。すると卵を産んでも温めることができないので、ほかの体温が一定の鳥に育ててもらうというのが理由です。
ここからわかることというのは、一般的な鳥の特徴を持っていない鳥は、オリジナルな方法をとるしかないということ。
自分たちも他の人がもっているのに自分がもっていない要素というのがあれば、逆に新しい何かを考えらえるチャンスでもあるのかなと感じました。
09 質疑応答・感想等
Q カッコウを選んだ理由は?
A 鳥について色々調べてみて、せっかくなら面白いテーマにしようと考えたからです。カッコウは一般的な鳥がもつ特徴と違う性質をもっているので、掘り下げてみたいと思いました。
A カッコウっていろんな動物番組で取り上げられますよね。
Q 托卵するというのは知っていました。なのですごいずるい鳥だなって思っていた。でも恒温動物じゃないということを知って、彼らにとっての苦渋の決断だったかもしれない。やむにやまれずやっているんだなと思ったのでイメージが変わりました。
A 赤ちゃんポストが一時期ニュースになることがありましたが、きっとそれと同じように、やむを得ない事情があったのかもしれませんね。
A ほかの卵を落とすとか誰にも教わっていないのにすごい。本能なのか。自然の摂理ってすごいなと思いました。
A カッコウが卵が暖められない理由、はじめて知りました、有り難うございます。
多種多様な特徴のある生物がいるから、多種多様な生存戦略があるのでヒトの感性の善悪で印象を決めつけちゃいけないなと思いました。
【参考文献】
・『BIRD 世界鳥類大図鑑』2009
・『日本動物大百科(全11巻)第4巻 鳥類Ⅱ』1997
(2022/04/17 第6回ZOOM発表会)